DXを、
現場の力に。
代表取締役からの発信
製造業を取り巻く環境は、大きく変化しています。
人手不足や技能継承、原材料・エネルギー価格の変動、サプライチェーンの複雑化に加え、お客様からの品質・納期・コストに対する要求はますます高度化しています。
また、AI、IoT、クラウド、データ分析といったデジタル技術の進展により、製造業においてもデータを活用して迅速かつ的確な意思決定を行うことが、企業競争力や社会的な価値を左右する重要な要素となっています。
株式会社ツルオカは、1931年の創業以来、資源循環とものづくりを通じて時代や社会の変化に対応しながら事業を発展させてきました。これからのツルオカに必要なのは、これまで培ってきた「現場力」に「データ」と「デジタル技術」を掛け合わせ、従来の「属人的なものづくり」から「データ駆動型の製造サービス」へとビジネスモデル自体を変革していくことだと考えています。
当社が考えるDXは、単に新しいシステムやデジタルツールを導入することではありません。熟練者のノウハウや現場の暗黙知をデータとして可視化・蓄積し、仕事の進め方そのものを根本から見直すことです。これにより、お客様や社会のニーズに迅速に応え、「より安全に、より効率的に、より高い品質(高品質・短納期・コスト最適化)」で価値を提供できる企業へと進化してまいります。
生産管理の一元化、品質データのリアルタイム共有、業務の自動化、AI・IoTの活用など、現場発の取組を積み重ねて全社へ広げ、拠点や部門を超えたデータ駆動型の経営基盤を確立してまいります。
DXの主役はどこまでも「人」です。
社員一人ひとりが課題を発見して改善を重ね、新しい技術に挑戦できるよう、既存社員のリスキリングや教育環境を一層強化してまいります。地域の産業発展にも貢献してまいります。
経営者自身がDX推進に強い責任を持ち、経営と現場、そして地域社会が一体となって変革を続けてまいります。
株式会社ツルオカ
代表取締役 鶴岡 正顯
DX宣言
データとデジタル技術を活用し、人と現場の力を最大化する。
経営ビジョン
創業以来培ってきた資源循環とものづくりの「現場の知見」に、データとデジタル技術を高度に融合させ、変化に強く持続可能な経営基盤を構築します。
現場で働く一人ひとりの判断力と創造性を最大限に引き出し、高品質・短納期・コスト最適化を追求する「データ駆動型製造サービス」へと進化することで、お客様のニーズに迅速に応えるとともに、地域の教育・研究機関との共創を通じた人材育成と地域社会の発展に貢献してまいります。
デジタル技術が競争環境に与える影響の認識
深刻な人手不足や熟練者の技能継承、原材料・エネルギー価格の変動、サプライチェーンの複雑化に加え、お客様からの品質・納期・コスト(QCD)に対する要求が高度化するなど、事業環境の変化は年々大きくなっています。
これらの変化に迅速に対応し持続的な成長を遂げるためには、熟練者のノウハウや現場の暗黙知をデータとして可視化・蓄積し、データ駆動型の業務プロセスへ変革することが不可欠であると認識しています。
ビジネスモデルの方向性
カウンターウェイト事業部、JP事業部、海外調達事業部、金属原料事業部、オートリサイクル事業部、YR事業部の全6事業部門および海外拠点(鶴正商貿(上海)有限公司)を、クラウド基盤(Google、Lark Base等)を用いてデータで一元的に統合します。
これにより、従来の属人的な製造・対応から、需要予測・現場データ・品質情報がリアルタイムに経営判断や工程管理に直結する「データ駆動型製造サービス」へとビジネスモデル自体を変革し、高品質・短納期・コスト最適化を実現する高付加価値な価値提供を行ってまいります。
DXの必要性
当社の各事業は、それぞれの現場で培われた経験と勘によって支えられてきました。一方で、労働人口の減少や熟練者の技能継承、為替・原材料市況の変動、国内外の拠点間の情報連携など、対応すべき課題は年々増えており、経験と勘に依存してきた従来の経営のあり方そのものを見直す必要に迫られています。
当社は、この課題認識のもと、DXを次の4つの戦略的視点で捉えています。
- 現場作業の効率化・DX・可視化:属人化してきた現場のノウハウをデータとして可視化し、経験や勘に依存しない安定した生産体制へ転換していく視点
- 間接業務の自動化・属人化解消:特定の担当者に集中してきた間接業務をノーコード技術で標準化し、担当者が変わっても業務が滞らない体制へ再構築していく視点
- AI・IoTによる工場の高度化・可視化:人手不足が続く中でも品質と安全を維持・向上させるため、AI・IoTを検査や設備管理に取り入れていく視点
- データに基づく生産管理・経営判断:拠点・部門ごとに分断されてきた情報をデータでつなぎ、経営判断のスピードと精度を高めていく視点
当社はこれらの4つの視点を、「2026年度までの短期的な現場・業務改善」と「中長期的なデータ駆動型製造サービスへの進化」という2つの時間軸で捉え、部門や拠点を越えて連携させることを、DX推進の基本戦略としています。
基盤整備フェーズ
→
定着・拡大フェーズ
DX基盤の
構築
ノーコード開発による内製化ツールの展開
現場データ統合基盤の構築
AI・IoT外観検査の実証・導入
経営ダッシュボードの全社展開
効果・
目指す姿
DX LV1
情報の標準化
ノーコードツールを試行し、現場課題を可視化
現場発ツールの
試行・検証開始
DX LV2
データの蓄積
現場・間接業務データの記録・蓄積を開始
開発ツール
18件運用
DX LV3
データによる業務効率化
事例の水平展開
事例として作業時間
▲67%削減
DX LV4
全社への横展開
主要工程・全社への標準化
主要工程で作業時間
平均10%削減
DX LV5
データ活用による
経営判断の定着
全事業部門で
ダッシュボード運用
DX推進方針
カウンターウェイト事業部、JP事業部、海外調達事業部をはじめとする各事業を、部門と拠点を越えてデータでつなぐことを基本方針とし、以下の考え方でDXを進めます。
経営ビジョン
業務DX間接業務の自動化
DATA活用データの統合
経営判断持続的な成長へ
DX戦略の具体的な取組み
現場で発生する受注・生産・在庫・出荷、品質、価格改定などのデータを一元的に蓄積することで、
データ駆動による現場改善を実現
各事業部門のDX施策の成果を全社の標準的な取組みとして横展開することで、
主要工程の作業時間平均10%削減の実現を目指す
データ収集→
データ駆動
業務推進→
DX施策(5テーマ)
01 生産・在庫情報の一元管理
02 品質データの蓄積・分析
03 現場・間接業務のデジタル化・自動化
04 AI・IoTを活用した検査・安全の高度化
05 データに基づく経営判断
事業価値
効率化製造原価・作業時間の低減
品質検査精度・判定基準の均一化
安全性現場の安全行動の定着
競争力データに基づく迅速な経営判断
以下の5つの具体的施策は、DX戦略への取組みを紹介するものです。
01生産・在庫情報の一元管理(生産管理システムの刷新)
受注・生産・在庫・出荷の情報を一元化する基幹システムの刷新を進め、部門ごとに分断されていた情報を統合します。生産計画から実績・在庫・出荷までを同一基盤で追跡できる体制を整えます。
- 基幹システム刷新:受注〜生産〜在庫〜出荷を一元管理する仕組みを構築中
- データ統合:品番・原価情報の部門横断的な統合を推進
- データ活用の取込み:受注・生産・在庫・出荷のデータを統合し、リアルタイムな生産計画と在庫最適化を実現します。データに基づく需要予測と納期管理により、在庫リスクの低減と顧客満足度の向上を図ります。
02品質データの蓄積・分析による品質管理の高度化
検査記録・不具合情報・測定値等をデータとして蓄積し、品質改善に活用できる環境を整備しています。特に中国拠点(鶴正商貿有限公司)との連携では、情報共有のリアルタイム化を進めています。
- 日中品質連携:クラウド基盤で検査記録から報告書作成までを自動化し、中国拠点との品質情報共有をリアルタイム化
- 検査結果の自動集計:入力された検査データから結果表・報告書をボタン操作で自動作成し、転記作業と入力ミスを削減
03現場・間接業務のデジタル化・自動化(ノーコード開発による内製化)
ノーコード開発により、現場・間接業務発の改善ツールを各部門で開発・運用しています(開発実績18件、JP事業部・海外調達事業部を中心に展開)。特別なプログラミング知識がなくても、現場・間接業務が自ら課題を解決できる体制を目指しています。
- 欠品予測自動作成:海外調達事業部の欠品予測表作成を自動化
- 塗料・消耗品在庫管理:QRコードでリアルタイムに在庫を記録し、発注先別の注文書を自動作成
- 価格改定自動計算:為替・材料市況と連動した価格改定計算を自動化
- 工程進捗管理:JP事業部でバーコードスキャンにより製品情報を登録し、着荷・出荷状況を可視化
- 注文書自動作成:用途別注文書の作成をワンクリックで自動生成し、担当者への属人化を解消
現場・間接業務の困りごと
属人化・転記作業・手作業の集計など、現場・間接業務で見つかった課題
→
ノーコードで試作
AppSheet/スプレッドシート等を使い、企画・管理部と現場・間接業務の担当が共同で試作
→
現場・間接業務でテスト・改善
実際の業務で試用しながら、使い勝手や処理内容を継続的に改善
本稼働・他部門へ展開
累計18件のツールを開発・運用し、他部門・他工程へ横展開
04AI・IoTを活用した検査・安全の高度化
画像認識技術やIoTを活用し、目視検査における判定基準の均一化と検査スピードの向上を図るとともに、ミス防止や作業姿勢の定量化により安全行動の定着を推進し、製品品質の平準化と安心・安全な作業環境の両立を目指しています。
- 外観検査AI活用:建設機械の塗装部品の外観検査へのAI画像判定導入を研究・実証中
- 指差呼称の見える化:指差呼称の実施状況をデータとして記録する取組みを実証中
- 判定基準の標準化:検査員の経験に頼ってきた判定基準を、AIとデータに基づく客観的な基準に置き換え、判定のばらつきを解消
外観検査AI活用
建設機械の塗装部品の画像をAIが判定し、検査精度とスピードを向上
指差呼称の見える化
指差呼称の実施状況を記録し、実施率を可視化
品質向上と現場の安全性向上
実証を通じて、判定基準の標準化と安全行動の定着を進めます
05データに基づく経営判断
受注から出荷までの生産管理プロセスの一貫管理に向けた基幹システムの刷新を進めるとともに、クラウド基盤(Google、Lark Base等)や経営ダッシュボードを活用し、工数・原価・稼働状況や日中の品質情報を可視化しています。部門や拠点を越えたデータの一元管理とリアルタイム共有により、需要予測精度の向上や在庫最適化、拠点間の意思決定サイクルの短縮を目指しています。
- ダッシュボード整備:工数・原価・稼働状況を可視化するダッシュボードを運用
- 原価分析:品番ごとの原価と販売単価の差分を分析する仕組みに取り組んでいる
- 拠点間データ連携:クラウド基盤を活用し、日本と中国拠点間の経営判断・意思決定サイクルの迅速化を推進
DX推進のための環境整備
クラウド基盤とノーコード開発技術を全社で活用、拠点・部門を越えた情報共有環境を整備するとともに、特定の担当者や外部業者に依存しない体制を構築しています。具体的には、以下の4つの環境整備を進めています。
1
基幹生産管理システムの刷新:受注から生産・在庫・出荷までを一貫管理するクラウド型基幹システムへ刷新し、品番・原価・在庫データを一元化しています。
2
拠点間データ連携基盤の構築:クラウド型データベース(Lark Base等)により、日本本社と中国拠点(鶴正商貿)間で検査記録や在庫データをリアルタイムに同期する環境を整備しています。
3
モバイル運用環境の整備と導入:AppSheetやGoogle Workspace(GAS等)のノーコード開発環境と、現場でのバーコード/QRコード読み取り携帯端末を整備し、業務アプリの内製化を進めています。
4
AI・IoT・経営ダッシュボード環境の導入:外観検査AIや設備IoTセンサーの実証環境を整え、工数・稼働率・原価差分を可視化する経営ダッシュボード基盤を順次展開しています。
DX推進体制
代表取締役を実務執行総括責任者とし、企画・管理部が全社の課題整理とツール導入を支援します。各事業部門が現場で実証し、効果を確認したものを全社へ展開するサイクルで進めています。
代表取締役(実務執行総括責任者)
全社のDX方針を最終承認し、投資判断を行う
DX推進体制
DX進捗会議(毎月開催)
企画・管理部(DX推進事務局)
各事業部門
オートリサイクル事業部
カウンターウェイト事業部
JP事業部(塗装工場)
海外調達事業部
金属原料事業部
YR事業部(結城工場)
DX推進体制の詳細
- 実務執行総括責任者:代表取締役
- 推進事務局:企画・管理部
- DX進捗会議:毎月開催し、各事業部の進捗をレビュー(2026年8月時点で開催25回)
- 外部連携:AIによる建機部品外観検査ツールの共同研究検討中
- 社内提案制度(AIMO):2025年7月から運用しており、携帯電話からQRコードをスキャンするだけで誰でも簡単に改善提案ができる体制を構築
DX人材育成
人材育成および全社定着に向けては、新入社員に対するDX教育・AIツール活用研修を実施していることに加え、既存社員を対象とした実践的なリスキリングを継続的に実施しています。さらに、現場の社員自らがツールの試作・改善に参画する機会を設けることで、全社を挙げたボトムアップ型のDX推進文化の定着を図っています。
- 新人向けDX研修:新入社員に対してDX教育、AIツールの活用等を実施
- 既存社員のリスキリング:ノーコードツール開発や生成AI活用研修など、実践的な教育を継続的に実施
- ボトムアップ型のDX推進文化:現場の社員自らがノーコードツールの試作・改善プロセスに直接参画する機会を設けるとともに、社内DX改善提案や成功事例を社内掲示板に掲載
KPI(戦略達成状況の指標)
各KPIについて、DX戦略全体の目標と2026年度末の目標を掲げ、現在の状況を管理しています。
| KPI項目(DX推進の4領域) | DX戦略全体目標 | 年内目標(2026年度末) | 現在の状況 |
| 現場作業の効率化・DX・可視化 |
全社の主要工程で作業時間を平均10%削減するとともに、作業内容の可視化を進め、標準作業として定着させる |
現場DXを3件実施し、対象作業の合計時間を改善前比10%削減 |
JP事業部で工数統計と工程進捗管理をもとに作業員を再配置し、総工数5%削減に取り組み中 |
| 間接業務の自動化・属人化解消 |
間接業務の自動化ツールを全社40件以上に拡大し、年間総間接業務工数を大幅に削減するとともに、属人化を解消し、業務デジタル化率を50%以上に高める |
デジタルツール累計25件開発・運用し、1件当たりの処理時間を平均80%短縮 |
累計18件開発・運用。代表事例(欠品予測表の自動作成)で週270分→90分(▲67%、年換算で約144時間)を削減 |
| AI・IoTによる工場の高度化・可視化 |
外観検査AIを主要工程へ本格導入し、検査品質の均一化と不良率15%削減を図るとともに、設備IoTを導入することで現場の安全性向上を実現する |
検査工程で外観検査AIの実証を完了し不良流出件数の基準値を確定。指差し呼称は1箇所で実施率90%以上を目指す |
外観検査AIは対象品番・判定基準を検討中。指差し呼称の記録・可視化に着手し、設備IoTによる生産ラインの可視化も検討を開始 |
| データに基づく生産管理・経営判断 |
受注〜出荷の一貫管理を全事業部門へ展開し、対応方針決定までの平均時間を4営業時間以内とするとともに、全事業部門で経営ダッシュボードを常時活用し、データに基づく意思決定を定着させる |
JP事業部・カウンターウェイト事業部・海外調達事業部の優先品番で一貫管理率80%以上、対応方針決定まで平均8営業時間以内 |
基幹システムの刷新とクラウド連携基盤(Google、Lark Base等)による可視化を推進中。日中品質情報共有は、従来平均2日(約48時間)を要していた対応の即日化に着手 |
情報セキュリティ基本方針
IPA「SECURITY ACTION」二つ星の自己宣言を取得済みです(取得:2019年9月)。